今年のレース傾向の展望
今年は去年と異なりBコースでの開催
Bコース開催のマイルCSというと、2001~2006の6年間のみでそれ以前はAコース、以降はCコースでの開催になっていました。
先行しての勝利が2001ゼンノエルシド、2006ダイワメジャー。粘りこんだのも2001タイキトレジャー、2003ギャラントアロー、2005ダイワメジャーのみで13/18は中団以降からの差しと差し優勢の状態。今の京都も外差し馬場なのでこれは変わらなそう。先行して勝つなら4角早めに抜け出して34秒前半の脚で粘ることが必至。
前述の先行馬の特徴を捉えると京都向きの持続力を兼ね備えていたことが言える。ゼンノエルシドは父Caerleonが京都得意なNijinskyの産駒で母父がDerring-Doの系統。Derring-Doの産駒High Topがジャックルマロワ賞でLyphardのハナ差2着をしたように、スピードを伝える種牡馬。Caerleon×Dominionで上手くナスキロ配合を噛ましているし大箱向きの好配合。ダイワメジャーは逆のタイプで母父ノーザンテースト≒Vice Regentを活かして粘り込むタイプだからゼンノエルシドほどの脚は使えない。ただナスルーラの近親のMahmoudの影響が強く持っているしHyperion由来のスタミナもあるからスタミナでマイルもこなすタイプ。
今年はCコースではないので大外一気というよりも…。去年負けてしまったが、ソウルラッシュやジャスティンカフェくらいの位置取りで差し込むかインを後方から突くのが理想になりそう。
出走馬分析
アルナシーム 牡5 調教:A 血統:D 総合:D
橋口慎介厩舎 藤岡佑介
モーリス×ジュベルアリ(母父:ディープインパクト)
母ジュベルアリはシャフリヤールの全姉でそこにモーリスなので京都外回りで活かせる切れ味はない。モーリスより腹袋がすっきりとしたフォルムで距離に関しては母方の影響が強そうで、ベストの距離は阪神の1800~2000mあたりか。どちらかというとローカル向き。小倉はこの牝系らしく下り坂を上手く走った。マイルの距離では7戦して条件戦で1勝と実績的にも寂しく京都での勝ち鞍はない。ただ調教は悪くないが。
ウインマーベル 牡5 調教:A 血統:C 総合:B
深山雅史厩舎 松山弘平
アイルハヴアナザー×コスモマーベラス(母父:フジキセキ)
京都なので祖母がNijinsky産駒なのはプラスだし母も京都は苦手というほどではなかった。父父のFlower Alleyはトーセンラーの半兄でその産駒のアイルハヴアナザーはどちらかというと軽いスピードと持続力よりの種牡馬で、軽い馬場でスピードを生かせればという感じになってくる。良馬場が絶対条件で内枠も欲しいが、母を考えればマイルくらいなら距離の融通は効く。
追切は前走同様日曜に66秒と早めで追って当週は68秒と抑えているが遠征を考えてのことだろう。追切パターンを変えて1年が経つが重賞3勝と気を吐いているからそろそろG1に届きたいところだ。
エルトンバローズ 牡4 調教:A 血統:B 総合:B+
杉山晴紀厩舎 西村淳也
ディープブリランテ×ショウナンカラット(母父:ブライアンズタイム)
ディープブリランテはディープらしくない…というかBustedのクロスに母父がRivermanの系統なのでスタミナに寄ったタイプでバブルプロスぺクターらしくジリ足タイプが出やすい。エルトンもそのタイプでHail to Reasonのクロスもあり先行力を活かすのがベストの血統。去年のように出脚で負けてしまうと京都の外回りではどうにもならない…。今年はバルサムノートくらいなのでどうにか先行できれば、RivermanとGraustarkで京都はこなせるのでは?去年より上の着順も。
調教はこの馬らしく前走同様好時計。あと、どうでもいいが馬体写真がこの顔の角度の時は3戦2勝3着1回(中京記念の0.1差)なので好調なのは間違いないはず。
オオバンブルマイ 牡4 調教:A 血統:A 総合:A
吉村圭司厩舎 武豊
ディスクリートキャット×ピンクガーベラ(母父:ディープインパクト)
祖母アジアンミーティアはUnbridled's Songの全妹。ディープインパクト×StormCat×Unbridled's Songと考えれば、コントレイルなど多数の活躍馬のいるニックスでディスクリートキャットの分短距離向きというところだろうが、父(BCマイル3着)を考えてもマイルがベストで距離延長は大歓迎。また、近親の エントシャイデンはフォレ賞3着のある下り坂巧者でまさに京都向き。良馬場で切れ味を活かしたいがある程度の道悪は他馬よりもこなせる。NHKマイルは凄かった…。
追切はここにきてまさかの朝日杯、アーリントンCと同じパターンで坂路で綺麗な加速ラップでの仕上げ。前週のCW追切といい武豊Jも絶賛の追切を連続しており調子は良さそう。
コムストックロード 牝5 調教:B 血統:D 総合:D+
宗像義忠厩舎 幸英明
シルバーステート×ニシノムーンライト(母父:Diesis)
シルバーステート×Diesis×Cure the Bluesだから今の京都1600mよりは12月の中山1600mで見てみたい。この距離だと先行しているがそれ自体は悪くないはず。調教は悪くないので、よりパワーを要する馬場を条件に見直したい。
ジュンブロッサム 牡5 調教:B 血統:B 総合:B
友道康夫厩舎 戸崎圭太
ワールドエース×エンプレスティアラ(母父:クロフネ)
ゴールドティアラ×クロフネ×サンデー系はステファノスと同様でワールドエースの分異なるが…。ステファノスもワールドエースも京都の適性は高いし本馬も京都では2戦1勝と悪くない。ただどちらもG1では今一つ足りないところがあったのでスケール感は物足りない。2,3着くらいにしれっといそう。追切も前走同様好時計で状態は良さそうで今回も買い条件は整った。
セリフォス 牡5 調教:D 血統:C 総合:D+
中内田充正厩舎 川田将雅
ダイワメジャー×シーフロント(母父:Le Havre)
ダイワメジャーにNothern Dancerクロスでキレを補強。Red GodにSecretariatとスピードに富んだ母系で、直線の長い京都よりも瞬発力が必要な阪神のマイルCSは好舞台だった。
また、近親にイエローゴッドがいる牝系なら先行力を生かしたいが、近走どうしてもゲートが合わない。立ち姿から見てもバランスの悪さが目立つし口向きの悪さも改善されず、能力は高いが発揮できない状態が続いているのは歯がゆい。追切もその通り微妙なのだが…。
ソウルラッシュ 牡6 調教:A 血統:B 総合:B+
池江泰寿厩舎 団野大成
ルーラーシップ×エターナルブーケ(母父:マンハッタンカフェ)
昨年の2着馬。適性は間違いないしBコース替わりは歓迎。ただ去年のモレイラから団野への乗り替わりというのは器用さに欠けそうで、そこのマイナスは大きそう。調教は京成杯を勝った時と同じ11秒台の締めで、前走より上昇度はうかがえる時計で問題ない。
タイムトゥヘヴン 牡6 調教:C 血統:E 総合:E+
戸田博文厩舎 柴田善臣
ロードカナロア×キストゥヘヴン(母父:アドマイヤベガ)
カナデアンガールから続く在来牝系にアドマイヤベガ。アドマイヤベガはAlmahmoudのクロスを持ち柔らかさがある血統だが、流石にもう6歳でロードカナロアのパワーに寄って行っている感もある。最善は中山なので間違いなくここでは評価が下がる。追切自体は問題なく消化していて可もなく不可もなく。
チャリン 牡4 調教:‐ 血統:C 総合:C
R.ヴェリアン厩舎 R.ムーア
Dark Angel×Futoon(母父:Kodiac)
血統的には今の京都ではやや強調材料に欠けてしまう。だが、京都適性は間違いなくあるし何とも言えない。実績的には抜けているしどの枠順でも問題なさそう。買うなら2~3着あたりを想定して。
ナミュール 牝5 調教:A 血統:A 総合:A
高野友和厩舎 C.デムーロ
ハービンジャー×サンブルエミューズ(母父:ダイワメジャー)
先週は半妹のラヴェルがエリザベス女王杯で波乱を演出。去年は大外一気で差し切り勝利を決めたようにBコースの京都1600mもこなせるだろう。ただ、C.デムーロはイン突き大好きなのでそこがどうか。
調教はいつも通り終いを伸ばして好調をキープ。秋初戦ながら十分に買える仕上がりだ。
ニホンピロキーフ 牡4 調教:B 血統:D 総合:C
大橋勇樹厩舎 田口貫太
キタサンブラック×ニホンピロアンバー(母父:スウェプトオーヴァーボード)
キタサン×在来牝系のパターンで間にフォーティナイナー系やVice Regent系を挟んでいる分スピードもあり走れているが、重賞ではイマイチ。上りもそこまで派手なものは使えず馬場が渋った条件でなら重賞でも買えるというタイプ。京都との相性は悪くないはずだが、マイラーズCでセリフォス以下というのは能力不足を感じる。調教はかなりいいが狙いずらい。
バルサムノート 牡4 調教:A 血統:D 総合:D
高野友和厩舎 北村友一
モーリス×エピセアローム(母父:ダイワメジャー)
栗毛の一族で黒鹿毛で出たのはメジロフランシスの影響が強そうでそこがどこかジリっっぽさに繋がっている所だろうか。ただその牝系のスタミナで前走押し切ったように前目の競馬が板についてきてくれば怖い存在。今回は東京から京都替わりというのはプラスだが、同じくスプリント路線から格上のウインマーベルが出てくるし早めに動かれると苦しそう。
フィアスプライド 牝6 調教:B 血統:D 総合:D
国枝栄厩舎 A.シュタルケ
ディープインパクト×ストロベリーフェア(母父:Kingmambo)
母系は米国の色が強くベストは中山1600mだと思うしVマイルはスタミナを活かして持続力でどうにか持った感じで今の京都は合わない。追切はこの馬なりに良さそうで条件替わりで狙いたい。
ブレイディヴェーグ 牝4 調教:C 血統:C 総合:C
宮田敬介厩舎 C.ルメール
ロードカナロア×インナーアージ(母父:ディープインパクト)
母は実質ミッキークイーンのブレイディヴェーグ。去年は低クッション値の京都で好走していただけに今年は条件替わりともいえるのでどうだろうか。カナロアの分重い馬場のほうが良さそうで他馬より素軽くもないし、距離短縮はマイナスのはずで1800mまではスタミナでこなしていたが、BコースのマイルCSを最後方からとなるとデュランダルのような競馬が求められるわけだが、血統の質感は異なる。調教は前走より抑えめの時計でやや不安。状態は悪くなさそうだが、条件と適正は合わなさそう。
マテンロウスカイ セ5 調教:C 血統:E 総合:E
松永幹夫厩舎 横山典弘
モーリス×レッドラヴィータ(母父:スペシャルウィーク)
前走は天皇賞5着に食い込んだマテンロウスカイ。ダークホース的な人気を集めそうだが前走がベストの条件をこなした可能性は高く、血統から見てもスペシャルウィーク、トニービン、モーリスと東京適性はありそうな血統表でDixieland BandにAllegedとスタミナもあるからスローでの粘り込みは本望で展開に騎乗も完璧だったからこれ以上はない。追切は前走と変わらない時計で悪くはなさそうだが…。
レイベリング 牡4 調教:B 血統:D 総合:D
鹿戸雄一厩舎 津村明秀
Frankel×Noyelles(母父:Docksider)
前走は秋の新潟でLの1400mを勝利。やはりパワーのいる馬場が得意ではあるが、ダービー卿CTを見てもスピード不足な感じがぬぐえず朝日杯は完成度の高さでどうにかこなした感じにも…。追切自体はいいので適条件で。